改善ナビ事件

改善ナビ事件の特許庁における異議申立段階の結論は次の通りです。

結論:登録第5141218号商標の商標登録を維持する。

理 由

1 本件商標

本件登録第5141218号商標(以下「本件商標」という。)は,「改善ナビ」の文字を標準文字で書してなり,平成19年6月8日に登録出願,第9類,第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成20年6月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は,以下のとおりである。

(1)登録第3031848号商標(以下「引用商標1」という。)は,「KAIZEN」の文字を横書きしてなり,平成4年8月24日に登録出願,第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成7年3月31日に設定登録されたものであり,その商標権は,平成17年4月12日に存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

(2)登録第3076341号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成4年8月24日に登録出願,第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,平成7年9月29日に設定登録されたものであり,その商標権は,平成17年7月26日に存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

(3)登録第4122382号商標(以下「引用商標3」という。)は,「改善」の文字を横書きしてなり,平成8年8月26日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成10年3月6日に設定登録されたものであるが,その商標権は,平成20年3月6日に存続期間が満了したため,その登録が抹消され,抹消の登録が平成20年12月3日にされたものである。

以下,引用商標1ないし3をまとめていう場合には「引用商標」という。
 

3 登録異議の申立ての理由の要点

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標中の「ナビ」の文字部分は,「ナビゲーション」の略語であり,また,経営に関する助言・指導について,「ナビゲーション」の略語として使用されている。

してみれば,本件商標は,指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」及び指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言・指導」との関連で,その構成中の「ナビ」の文字部分は識別力の弱い部分である。また,本件商標は,「改善」の漢字と「ナビ」の片仮名文字からなるから,外観上「改善」と「ナビ」とが分離して観察されやすいものであり,前半部の「改善」から「カイゼン」の称呼及び「改善」の観念が生ずるものである。

一方,引用商標は,それぞれの文字に相応し,「カイゼン」の称呼及び「改善」の観念を生ずるものである。

したがって,本件商標と引用商標とは,称呼及び観念において類似する商標であり,また,その指定商品・役務も互いに抵触するものである。

(2)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから,取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)引用商標3について

引用商標3は,前記2(3)のとおり,平成20年3月6日に商標権の存続期間が満了したものである。そして,本件商標の登録査定日は,平成20年4月18日であるから,引用商標3の商標権は,本件商標の登録査定時には既に消滅していたというべきである。

したがって,引用商標3を引用し,本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に違反したとする申立人の主張は失当といわなければならない。

(2)本件商標と引用商標1及び2との類否

本件商標は,前記1のとおり,「改善ナビ」の文字を書してなるものであるところ,該文字は,同一の書体をもって,同一の大きさ・間隔で書され,外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく,これから生ずると認められる「カイゼンナビ」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。また,本件商標を構成する「改善ナビ」の文字からは,やや具体性に欠けるとしても,「悪いところを改めてよくするためのナビゲーション」なる意味合いが生ずるものである。

そうすると,本件商標は,称呼,外観及び観念のいずれの面からみても,構成文字全体の一体性が強いものとして認識されるというべきであるから,これを殊更「改善」の文字部分と「ナビ」の文字部分とに分離し,「改善」の文字部分のみを抽出して称呼,観念すべきものではない。

してみれば,本件商標は,その構成文字に相応して,「カイゼンナビ」の一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。

この点に関し,申立人は,本件商標中の「ナビ」は,経営に関する助言・指導の分野において,「ナビゲーション」の略語として使用されている実情にあるから,自他役務の識別機能が弱い旨主張し,甲第5号証を提出するが,甲第5号証に示される各事例においても,構成する文字全体が一つの意味をもった言葉として使用されているものと認められるから,これらの事例の存在をもって,本件商標中の「ナビ」の文字部分を切り離して観察しなければならない合理的理由は存しない。そして,他に,本件商標中の「改善」の文字部分のみが独立して把握,認識されるとみるべき特段の理由も見あたらない。

したがって,本件商標から「改善」の文字部分のみを分離,抽出し,これを前提にして,本件商標と引用商標1及び2とが,「カイゼン」の称呼及び「改善」の観念において類似するとする申立人の主張は,前提において誤りがあり,採用することができない。

その他,本件商標と引用商標1及び2とを類似の商標とみるべき理由は見出せない。

以上によれば,本件商標と引用商標1及び2とは,称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(3)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。 

平成21年 4月27日